左バッターは以下のような理由で右バッターより有利な点が多いと言われている。
・一塁に1歩分近い
・右投手と相性が良い
・腰の回転と走り出す方向が同じ
近年、右バッターから左バッターに転向する球児や、野球を始める子どもを左バッターとして育てる指導者が増えているようだ。
左バッターは本当に有利なのか?
その問いに真っ向から答えた面白い本を見つけた。内容はおそらく中学生向けくらいの簡単なものだが、日本プロ野球選手の右バッターと左バッターを比較したデータは面白かった。
『左バッターを科学する』ベースボールマガジン社(2016年)
・左打者と右打者の打席数に対する内野安打率は、右バッター全体で1.5~1.7%に対して、左バッターは2.4~2.6%と高い。
・右投手に対する対戦成績は、左バッターのほうが平均して1~2分くらい高い。
・松井稼頭央、西岡剛、金城龍彦などのスイッチヒッターの内野ゴロに対する内野安打率は左打席の方が軒並み高い。
・シーズン打率歴代トップ10のうち、9名は左バッター
などなど、左バッターが有利であることを裏付けるデータが満載だ。右バッターから左バッターに転向した経験がある自分としても、このデータは実感値としてはとても妥当だと思う。
一方で、ホームランにおいてだけは、左打者が有利とは言えないようだ。
1996~2015年までのセ・リーグでホームラン王を獲得した左バッターは、松井秀喜、ペタジーニ、T・ウッズ、ラミレスのたった4名だそう。
また、通算ホームラン数の歴代トップ20人のうち、左バッターは王貞治、門田博光、張本勲選手など5名。かつ、王貞治、門田博光、張本勲の3選手は、左投げ左打ちで、生まれた時から左利きだ。これを見ると、長打を打つための力強さは、「作られた」左バッターには超えられないものがあると言えそうだ。
以上のように、長打を除いて、左打者はやはり有利だということを改めて理解した。